永遠に生き続けるのだと思うと、人生の不可思議さに驚かされます。

提供ご家族:70代女性の御主人様より

54年間喜怒哀楽を共にした最愛の妻を亡くしました。

ふとしたことから肺ガンの発生を知り、摘出手術を受け快方に向かっていたのに、その後再発や転移があって、79歳をあと1か月に控えて、ついに帰らぬ世界に旅立ってしまいました。
死の直後、関係の方のお薦めもあり、アイバンクに角膜を提供させていただきました。

後日、アイバンクから「提供を受けた角膜は、県内の70歳代の女性に移植され経過は大変良好です」との報告を受けました。

妻は年老いても易々と針穴に糸を通す良い眼でしたので、妻の角膜はもう私の方を見ることはなくとも、その人や家族の方の希望の光になって喜んでもらっているかと思い、いささかの安堵感を得ています。ひょっとするとどこかの街角で、私はその眼で見られていることもあるかと考えると不思議な感じです。

妻の身体の一部が見も知らぬ人のもとで生き続けているので、その人の長寿を心から祈りますが、考えてみると、妻のDNAは子や孫には連綿と伝えられて、永遠に生き続けるのだと思うと、人生の不可思議さに驚かされます。

生きているときに「ああすればよかった」「こうもすればよかった」「ああすれば、こうなっていたのではなかったか」と、心の中は達しえぬ後悔で一杯です。
妻の死を平静に受け入れられる時は、私も妻のもとに逝く日かとも思います。

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