角膜移植を検討されている方へ

私たちは、角膜、網膜・硝子体、視神経のすべてが機能して初めて「見る」ことができます。その角膜に障害のある場合、角膜移植によって視力回復が期待できます。福井県アイバンクでは、一人でも多くの方々が光を取り戻せるよう角膜移植をサポートしております。

角膜移植について

角膜移植とは機能を失った角膜を取り除き、健康な提供角膜に置き換える手術のことです。以下のような点眼などでは治療出来ない場合に手術の適応となります。

角膜とは・・・
  • (1)角膜が混濁したとき
  • (2)角膜が光を正しく屈折しないとき
  • (3)角膜に穴が開いたとき、または開きそうなとき

適応疾患の対象となる病気の一覧

角膜移植の現状

視力回復、疼痛(とうつう)などの辛い症状の改善、整容上の改善などのメリットと、合併症のリスク、および術後ケアの手間などをはかりにかけ、ご家族ともご相談の上、角膜移植をお受けになるかどうかをお決めください。主治医はご質問にできる限りお答えいたしますが、手術の決定はご自身でお決めいただくことになります。
他の治療法として、点眼、内服などの保存的薬物治療、コンタクトレンズなどの処置も病状によって考えられる場合もあります。また、治療をお受けにならないという選択肢もあります。

移植に使用される角膜について

手術で移植する角膜は、亡くなられた方から提供された貴重な角膜を使用しています。亡くなられた人の眼球は、角膜が透明であれば近視・遠視・乱視・老眼・年齢に関係なく、角膜移植に使用することが出来ます。

福井県アイバンクでは、提供された角膜が手術に適しているかどうかを検査した後、公平・公正にあっせんします。

適応疾患について

角膜移植の主な原因疾患は、水疱性角膜症、円錐角膜、角膜混濁、角膜潰瘍、角膜ヘルペス、角膜変性症(ジストロフィー)、化学傷/熱傷などです。

化学傷/熱傷薬品やセメントなどが眼に入った場合、また目にやけどを負った場合に、強い瘢痕(はんこん)を生じることがあります。角膜だけでなく、結膜や涙腺なども障害されていることが多く、輪部移植や羊膜移植などを同時に行う場合もあります。

水疱性角膜症 角膜の内側には「内皮細胞」があり、角膜の水分を調整しています。この細胞の機能が低下し、角膜が過剰に水分を含んでしまった状態、つまりむくんだ状態を「水疱性角膜症」と言います。加齢や、白内障などの手術後に発症するものもあり、原因はさまざまです。過去に角膜移植を受けた方の内皮細胞が減少して、再移植が必要になった状態も、広い意味で「水疱性角膜症」に含まれます。
円錐角膜 思春期に好発する角膜変性疾患です。角膜中央部が薄くなり、前方に突出します。角膜の形がゆがむため、乱視を生じます。軽度~中程度では、ハードコンタクトレンズで矯正可能ですが、高度に進行しコンタクトレンズでは矯正視力が十分にでない、あるいはレンズを数時間しか付けられないような場合に角膜移植が適応となります。
角膜混濁 何らかの原因で角膜炎を患い、その後、瘢痕(はんこん)や混濁が残ったため、光を通さない状態にあるものです。角膜白斑と呼ばれる場合もあります。
角膜潰瘍 細菌や真菌などにより、角膜に潰瘍が引き起こされると、やがて角膜に穴が開いてしまいます。その前に点眼薬などで治療しますが、角膜が薄くなってしまった場合などに移植の適応となります。
角膜ヘルペス ヘルペスウイルスは、成人のほとんどが持っているウイルスです。これが何らかのきっかけで角膜に炎症を起こし、瘢痕(はんこん)や混濁を残した場合に角膜移植の適応となります。手術後、再発を防ぐ為に、抗ウイルス剤を投与する場合があります。
角膜変性症 遺伝などの素因で、角膜実質内に異常物質が沈着し、混濁したものをいいます。ジストロフィーとも言われ、いくつかの種類があります。角膜移植後に再発しやすいタイプもあります
化学傷/熱傷 薬品やセメントなどが眼に入った場合、また目にやけどを負った場合に、強い瘢痕(はんこん)を生じることがあります。角膜だけでなく、結膜や涙腺なども障害されていることが多く、輪部移植や羊膜移植などを同時に行う場合もあります。

もし円錐角膜、角膜変性症等などにより視力障害をきたされた方々は、まずは医療機関を受診し精密検査を行います。そのうえで角膜移植適応者と判断された方は、移植手術を受けるために福井県アイバンクに登録されます。

移植者・提供ご家族の声